御祝事のとき使う祝儀袋では、日本に古来から伝わる、表書きや水引、のしの習慣があります。
しかし近年は、都市化や高度経済成長とともに、3世代同居などの大家族世帯は、極端に減少しています。
そのため核家族化が進行し、古くから伝わる慣習にも、なじみが薄くなってしまいました。
のし袋の正式な作法となると戸惑うことが多いようです。
いまでは祝儀や不祝儀袋も、「ダイソー」や「セリア」といった100円均一ショップなどでも、簡単に買えるようになりました。
そのためか、間違った形のものを使用したりしていることも、度々あるようです。
冠婚葬祭は、ルールが複雑でわかりにくいと嘆く前に、その本来の意味や役割を考えましょう。
なるほどと納得できるものが多いものです。
ちょっとした知識があれば、何のために贈るのかよりはっきりとし、心のこもった贈りかたができるでしょう。
せっかくですから、失礼のない形で贈るためにも、のし袋の「表書き」「水引」「のし」の意味と、書き方をここで覚えてみましょう!
のし袋の、表書きを書く意味とは?
のし袋の表書きとは、何のためにそして、どのように書くのでしょうか?
その意味を知ることで、お相手により心が伝わるようになるかもしれません。
昔、御祝の贈り物するときには、品物と共に必ず目録を添えて送るのがしきたりでした。
目録には、品物の内容と数量、そして送り主の名前を書きました。
しかし、時代とともに目録は、だんだんと省略されるようになっていき、のし袋の包みそのものに、目録の内容を直接書き込むようになったのが表書きです。
つまりのし袋の表書きは、相手に贈り物の内容を伝える、目録代わりの意味があるようです。
そのため正式な表書きには、品名を水引の上の部分に書き、水引の右下の部分には数量を、左下に名前を書きます。
贈るものがお金の場合、例えば「御○○○料」と水引の上に書き、下には「金十万円」と具体的な金額を書き、左に贈り主の名前を書きます。
しかし現代では、金額をのし袋の表に書くのは抵抗があるという風潮からか、「お祝い申し上げます」とか「ありがとうございます」と記したりします。
このように、贈る意味を言葉で伝えるのではなく、表書きに記すようになりました。
これはこれで良いと思いますが、「本来なら品物でお贈りしたいのですが」という気持ちを込めることが大切です。
品物(品名)の後に料をつけて、「品物+料」という書き方にした、見直をしても良いかもしれません。
お相手には、できるだけ心がこもった伝わり方が、好ましいからです。
水引には、どんな目的があるのでしょうか?
ここでは、のし袋の水引の意味と目的について考えてみましょう。
その昔、中国から贈られた到来物が、紅白の麻の縄で結んでありました。
当時、到来物は珍しく、大変めでたいものと考えられました。
婚礼用の祝儀の酒樽には、結んだワラや麻の注連縄(しめなわ)が飾られ、やがて水引になったと言われているのがルーツです。
注連縄(しめなわ)は、神聖な領域を表しています。
そのため、水引には汚れていないものを贈るという意味が込められています。
また、包を確実に結びとめるという役割と、物事の成就(じょうじゅ)を”結ぶ”(ここでは成し遂げる)ことに託すという意味もあります。
水引の前の形は帯紙と言って、赤い紙を細く切って使用していました。
そのうち糊水(のりみず)の技術が発達し、コヨリに糊水(のりみず)をひいて乾かした水引ができました。
現在でもいろや結び方には、いろいろな約束事があり、慶事(けいじ)、弔事(ちょうじ)ごとに、厳密に使い分けています。
のし袋にのしをつける意味
何故のし袋には、のしがついているのか?
その目的を今回は考えていきます。
のしは、正式には「のしあわび」といいます。
昔は、本当の貝のアワビをのして使っていたようです。
古来、ハレの日(神事や祝儀)の贈り物には、酒とともに海産物(生ぐさもの)は、つきものでした。
海のものの代表とされたアワビを添えることで、海産物を贈るという意味があるようです。
この、のしですが、お祝い事には必ずといっていいほどつきものです。
しかし、弔事の時は、殺生をすると亡くなった人の供養にならないので、のしをつけることはしません。
※不祝儀袋には、「のし」は付きません。
現在ののしは、紙製などののしアワビを折形で包んだものになっています。
細かくは、「真」「行」「草」などの種類があるようですが、現在は水引とくらべても、厳密には使い分けていないようです。
まとめ
のし袋の表書きは、目録の代わという意味があり、本来は品名を水引の上の部分に書き、水引の右下の部分には数量を、左下に名前を書きます。
しかし現代は、金額を書くのは抵抗があるという風潮から、贈る言葉を表書きに記すようになりました。
水引には汚れていないものを贈る、包を確実に結びとめる、物事の成就(じょうじゅ)を”結ぶ”という意味があります。
慶事(けいじ)、弔事(ちょうじ)ごとに、厳密に使い分けます。
のしは、正式には「のしあわび」といい、お祝い事には必ずといっていいほどつきものです。
しかし弔事の時は、亡くなった人の供養を考えて、のしをつけることはしません。
いかがでしたか?
市販の祝儀、不祝儀袋の中には、明らかに間違っているものがあるようです。
市販の祝儀、不祝儀袋の間違いには注意!
くれぐれも、こうした間違いのものは、選ばないように注意しましょう!
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