この物語は、ある女性の思春期の体験談です。
高校生活
ある15歳の少女は
高校受験のストレスから
拒食症になってしまいました。
志望の高校には
なんとか合格したのですが
たまに学校に行っても
ほとんど保健室にいたり
授業は午前中だけで
下校してしまい
前期はほとんど高校に
行けないほど弱っていました。
たまに女生徒が学校に来ると
先生もクラスメート達も
みんなで喜んでくれ
毎回お祭り騒ぎのように
歓迎してくれました。
しかし進学高校の女生徒は
まともに授業に出れない状況から
一年留年することと
なってしまいました。
いじめ
新学期が始まり
彼女が留年したことは
始業式の日に担任から説明があり
クラスメート達全員が
知ることとなりました。
彼女の体調は少しずつ回復して
学校に通えるようになっていましたが
自分から関わりに行くタイプではなく
1ヶ月たってもグループにも入れず
中々友達も作れずにいました。
回復してきたとはいえ
やせ細った身体では
走ることすら危うい状態
そんな時
クラスメートが彼女のことを
骸骨と噂するようになりました。
初の頃はスルーしていたのですが
ついには名前ではなく骸骨と呼ばれ
次第にエスカレートしていったのです。
彼女の病気は
もとのように悪くなり始めました。
打ち明け
彼女はこれ以上留年したくない気持ちから
クラスメート達によるいじめを
担任に打ち明けました。
しかし担任は
体調管理が悪いのが原因だと言って
いじめを否定することをしませんでした。
絶望した彼女はそのまま早退し
家で泣きじゃくっていました。
夕方になって帰宅した母親は
娘の事が心配で話を聞くと激怒し
翌日学校について行きました。
学年主任と担任の先生を交え
彼女は昨日のことについて話しました。
話し終えると学年主任は激怒し
担任に本当かと問いただしました。
しかし担任は
「クラスにはいじめなどない。」
「彼女のいうことは嘘だ。」
と、しらばっくれました。
母は激怒し
「うちの娘が嘘をついているというのか!」
と、今にでも掴みかかりそうな勢いで
反撃しました。
しかし、担任は否認の一点張り。
困った学年主任はしばらくの間
彼女のクラスを監視することにしました。
監視
彼女のクラスには授業のない先生が
一人ずつ監視につくようになりました。
するといじめは一切なくなりました。
そして1ヶ月ほどたった後
学年主任から自宅に電話があり
「異常と思われる点はなかったので
監視を一旦やめることにしました。」
「またなにかあれば
真っ先に相談して欲しい。」
と、伝えられました。
監視がなくなり
1週間ほどは事なきで過ごせました。
しかし、しばらくすると今度は
弁当を隠されたり
授業中に消しゴムを投げつけるなど
以前よりひどいいじめが始まりました。
彼女はすぐに学年主任に相談し
担任と学年主任の3人で
話し合いの場が作られました。
そして状況説明
↓
担任が否定
↓
監視をつける
というように
何度か繰り返し行われました。
しかし一度も
いじめの場面が見つからなかった事
監視に当たる先生方から
少しずつ不満が出始めている
クラスメートの親達から
子供が監視されることに対して
文句を言い始めたこと。
などなど、これ以上学校側は
動けないと伝えられました。
彼女はまたもショックで
その場で泣きくずれてしまいました。
そんな彼女を見かねた学年主任は
私個人として見守るからと言って
休み時間などには心配して
相談に乗ってくれました。
事件
学年主任のおかげで
いじめは少しずつ減っていくように見えました。
しかし先生が出張で数ヶ月学校にいなくなると
鬱憤を晴らすかのように
いじめはすぐに再開し始めました。
そこで学年主任とアドレス交換していた彼女は
電話やメールでそのことを連絡すると
他の信頼できる先生に話しは通しているので
頼れと言ってくれました。
しかし信頼できるその先生は
部活の顧問や期末テストを作成していて忙しく
中々話せる時間がとれませんでした。
ようやく先生と話した数日後
彼女のクラスで暴力事件が起こりました。
事件を起こしたのは
中学ではクラスが離れてしまい
同じ高校に進学していたことすら
彼女は知らなかった
小学校が一緒のクラスメートだったA君でした。
授業中に担任の先生にいきなりつめより
「いじめがあるのになんで無視するねん!」
と言って掴みかかり殴りはじめました。
さらに
ここ数日彼女に対していじめをしていた生徒も
次々に殴り続け
隣のクラスから駆けつけた
先生や男子生徒複数に押さえ込まれて
やっとA君は止められました。
そしてA君は職員室に連れて行かれ
怪我をした生徒は保健室に連れて行かれました。
A君の処分
職員室に連れて行かれたA君に
暴れた理由を尋ねると
「彼女がいじめられていると聞いて
いてもたってもいられなかった。」
と先生方に話したそうです。
A君には処分が決まるまで
自宅謹慎が言い渡されました。
その日からしばらくは
学校中が彼の話題でもちきりとなりました。
彼女に対するいじめが発覚し
大きな問題として取り上げられ
彼女といじめていた生徒
担任に対する事情聴取が連日あり
流石に担任は隠しきれずいじめを認めました。
A君の処分は最初退学予定だったのですが
生徒達の親から
「自分たちの子供のせいで起こったことだから自業自得。
A君の処分を軽くして欲しい」との声が集められ
A君は2週間の停学で処分が決定されました。
約束
A君が謹慎明けで登校した放課後
彼女はA君のところへ行き
暴れた本当の理由を尋ねました。
最初ははぐらかしていたのですが
彼女が問い詰めるとA君は
「俺が小学校のとき言ったこと覚えてる?」
と少し恥ずかしそうに話だしました。
A君は小学校低学年の時に
彼女に告白したことがありました。
彼女がOKをすると
A君はとても嬉しそうにはしゃいでいました。
そして「俺はずっと君のことを守るから!」
と少してA君は小さな約束をしました。
高学年になるにつれ別々に行動するようになり
二人の関係は淡い恋心で消滅したかのように
彼女はすっかり忘れかけていました。
しかしA君はずっと覚えていて
その通り約束を果たしてくれたのです。
それを聞いた彼女は
涙を我慢することができませんでした。
「ずっと辛い思いさせてごめんな」と
A君は彼女を胸に抱き一緒に泣きました。
そしてしばらくして二人共泣き止むと
「小学校の時からずっと好きだった
もう一度俺と付き合ってください。」
と告白してくれました。
約束を果たしてくれたA君に
今度は彼女が約束の返事を返しました。
それから
A君のおかげで
彼女に対するいじめはすっかりなくなりました。
病気もそれに伴い回復し始め
少しずつですが体重も増えていき
卒業する頃にはすっかり元気な体型に変化しました。
クラス中でもいじめていなかった生徒とは
仲良くなり友達になることもできました。
A君とは一年遅れで同じ大学へと入学し
卒業後に二人は結婚をしました。
彼女は憧れだった学年主任の先生と
今は同じ職場で先生として働いています。
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